人手不足を解決するための助成金・補助金

日本商工会議所の調査によると、2024年9月時点で、中小企業2,392社のうち、人手が「不足している」との回答が6割超(63.0%)、人手不足企業の6割超(65.5%)が、事業運営への影響について、「非常に深刻」または「深刻」と回答しています。

引用:日本商工会議所「人手不足の状況および多様な人材の活躍等に関する調査」

https://www.jcci.or.jp/news/research/2024/0905140000.html

厚生労働省や東京都では、中小企業の労働環境の整備、職業の安定・人材の育成を推進するため、助成金や補助金を展開しています。本コラムでは、それらのうち、人手不足を解決するのに役立つ助成金・補助金を紹介いたします。
※以下の情報は、コラム執筆時点での情報であるため、公募が終了しているものがある可能性があります。

1.求職中の労働者の再雇用を促進する助成金

(1)早期再就職支援助成金【実施機関:厚生労働省】

①早期再就職支援等助成金(雇入れ支援コース)
 離職を余儀なくされた労働者を早期に雇い入れる

②早期再就職支援等助成金(中途採用拡大コース)
 中途採用者の雇用管理制度を整備した上で中途採用者の採用を拡大する

③早期再就職支援等助成金(UIJターンコース)
 東京圏から移住者を雇い入れる

(2)特定求職者雇用開発助成金【実施機関:厚生労働省】

①特定求職者雇用開発助成金(特定就職困難者コース)
 高年齢者・障害者・母子家庭の母などの就職困難者を雇い入れる

②特定求職者雇用開発助成金(発達障害者・難治性疾患患者雇用開発コース)

 発達障害者または難治性疾患患者を雇い入れる

③特定求職者雇用開発助成金(就職氷河期世代安定雇用実現コース)
 正規雇用の機会を逃したこと等により、十分なキャリア形成がなされず、正規雇用に就くことが困難な者を雇い入れる

引用:厚生労働省ホームページ「雇用関係助成金一覧」

https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyou/kyufukin/index_00057.html

(3)ミドルチャレンジ事業「Jobトライ」(受入準備金・採用奨励金)【実施機関:東京しごと財団】

ミドルチャレンジ事業「Jobトライ」における企業内実習終了後、「受入準備金」を支給。また、実習後に実習生を正社員として採用し、6か月定着後に「採用奨励金」を支給。

引用:公益財団法人東京しごと財団

https://www.shigotozaidan.or.jp/link/Grant_Money_link.html

2.労働者のキャリアアップやスキルアップを推進して、職場定着を促進する助成金

(1)キャリアアップ助成金【実施機関:厚生労働省】

①キャリアアップ助成金(正社員化コース)
 有期雇用労働者等(契約社員・パート・派遣社員など)を正社員化する

②キャリアアップ助成金(障害者正社員化コース)
 障害のある有期雇用労働者等を正規雇用労働者等へ転換する

③キャリアアップ助成金(賃金規定等改定コース)
 すべてまたは一部(職種別や雇用形態別)の有期雇用労働者等の基本給の賃金規定等を改定し、3%以上増額させる

(2)人材開発関係の助成金【実施機関:厚生労働省】

①人材開発支援助成金(人材育成支援コース)

 職務に関連した10時間以上の訓練、OJTとOFF-JTを組み合わせた訓練等を実施する

②人材開発支援助成金(教育訓練休暇等付与コース)
 有給教育訓練休暇制度を導入し、労働者が当該休暇を取得する

③人材開発支援助成金(建設労働者認定訓練コース)
 建設業の中小事業主等が認定訓練を実施する、または建設業の中小事業主が建設労働者に有給で受講させる

引用:厚生労働省ホームページ「雇用関係助成金一覧」

https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyou/kyufukin/index_00057.html

(3)中小企業人材スキルアップ支援事業【実施機関:東京しごと財団】

中小企業が従業員に対して実施する研修に係る経費を内容・実施方法に応じ助成

・事業内スキルアップ助成金

・事業外スキルアップ助成金

・DXリスキリング助成金

引用:公益財団法人東京しごと財団

https://www.shigotozaidan.or.jp/link/Grant_Money_link.html

(4)「リスキリング」による中小企業の人材強化支援~文京区中小企業人材強化支援事業補助金【実施機関:文京区】

区内中小企業者が自社の従業員を対象とした「リスキリング」に取り組む場合に、新たな資格の取得に要する経費の一部を補助します。

引用:文京区役所

https://www.city.bunkyo.lg.jp/b012/p005129.html

3.労働者の職場環境を整備して、職場定着を促進する助成金

(1)人材確保等支援助成金【実施機関:厚生労働省】

①人材確保等支援助成金(雇用管理制度助成コース)
 諸手当等制度や研修制度、健康づくり制度、メンター制度、短時間制社員制度を整備する

②人材確保等支援助成金(人事評価改善等助成コース)
 人事評価制度と賃金制度を整備し、生産性向上、賃金アップ、離職率を低下させる

③人材確保等支援助成金(外国人労働者就労環境整備助成コース)
 外国人特有の事情に配慮した就労環境の整備(就業規則等の多言語化など)を通じて、外国人労働者の職場定着を図る。

④人材確保等支援助成金(テレワークコース)
 適正な労務管理下における良質なテレワークの導入・実施を通じて従業員の離職率の低下を図る

引用:厚生労働省ホームページ「雇用関係助成金一覧」

https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyou/kyufukin/index_00057.html

(2)女性の活躍推進助成金【実施機関:東京しごと財団】

女性の新規採用・職域拡大等を目的として、女性が少ない職種等に積極的に女性を新たに採用・配置する都内の中小企業等に対し、女性専用設備(トイレ等)の整備に係る費用を助成。

引用:公益財団法人東京しごと財団

https://www.shigotozaidan.or.jp/link/Grant_Money_link.html

4.シニア世代の雇用を促進する助成金

(1)65歳超雇用推進助成金【実施機関:厚生労働省】

①65歳超雇用推進助成金(65歳超継続雇用促進コース)
 65歳以上への定年引上げ等を実施する

②65歳超雇用推進助成金(高年齢者評価制度等雇用管理改善コース)
 高年齢者の雇用管理制度を整備する

③65歳超雇用推進助成金(高年齢者無期雇用転換コース)
 高年齢の有期契約労働者を無期雇用に転換する

(2)高年齢労働者処遇改善促進助成金【実施機関:厚生労働省】
 60歳から64歳までの高年齢労働者の賃金規定等を増額改定し、高年齢雇用継続基本給付金の受給総額を減少させる

引用:厚生労働省ホームページ「雇用関係助成金一覧」

https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyou/kyufukin/index_00057.html

5.労働者の仕事と家庭を両立させて、職場定着を促進する助成金

(1)仕事と家庭の両立支援関係等の助成金【実施機関:厚生労働省】

①両立支援等助成金(出生時両立支援コース)
 中小企業が男性の育児休業取得推進に取り組む

②両立支援等助成金(介護離職防止支援コース)
 中小企業が仕事と介護の両立支援に取り組む

③両立支援等助成金(育児休業等支援コース)
 中小企業が労働者の円滑な育児休業取得・職場復帰に取り組む

引用:厚生労働省ホームページ「雇用関係助成金一覧」

https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyou/kyufukin/index_00057.html

(2)魅力ある職場づくり推進奨励金【実施機関:東京しごと財団】
従業員のエンゲージメント向上や結婚から子育てまでのライフステージの支援、賃上げに取り組む企業に対し、奨励金を支給

引用:公益財団法人東京しごと財団

https://www.shigotozaidan.or.jp/link/Grant_Money_link.html

6.職場の労働安全性を改善して、職場定着を促進する補助金【実施機関:厚生労働省】

(1)高度安全機械等導入支援補助金
既存不適合機械等を、最新の構造規格に適合した機械等への改修又は買換を行う

(2)エイジフレンドリー補助金
高齢者を対象とする安全衛生確保に係る取組を実施する

(3)個人ばく露測定定着促進補助金
リスクアセスメントの一環として行う労働者の呼吸域の濃度の測定(個人ばく露測定)や、技術上の指針等に基づき適切な呼吸用保護具を選択するために個人ばく露測定を行う

引用:厚生労働省ホームページ「「労働条件等関係助成金」のご案内」

https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/zigyonushi/index_00051.html

7.助成金・補助金の特徴とと留意点

  助成金、補助金等には下記の特徴があり、自社への適用に際しては下記の注意が挙げられます。

(1)使用用途が助成金・補助金毎に厳密に規定され、用途以外での使用は原則認められないこと

(2)事業者側が必要経費を支払った後に、実施機関から精算・入金されるため、繋ぎ資金を調達するなど資金計画を立てる必要であること

(3)助成金・補助金の内容や受給条件は定期的に改変されることから、専門家に最新情報を確認するのがより確実であること

自社に合った助成金・補助金の選択と活用に取り組みたいとお考えの方は、お気軽に文京区中小企業経営協会にご相談ください。上記以外にも多様な助成金・補助金申請の経験・ノウハウをもった中小企業診断士が、中小企業の皆様のご相談に丁寧に対応いたします。

(文責:和氣友理)

投稿者プロフィール

NPO文京ホームページ運営