コラム:“営業力・採用力・組織力”向上には『ブランディング』
~中小企業が生き残るためのブランド力①〜
◆はじめに
中小企業を取り巻く環境はここ数年、劇的な変化を続けています。
新型コロナウイルス感染症で行動変容が起き、リモートワークやDXが進められてきました。
そして昨年からは円相場の変動やエネルギー価格、物価の上昇など、頭の痛いニュースばかりです。
そのような厳しい荒波の中を中小企業が生き残るため、どのように自社のブランド力を高め、
それを活用していくかなど診断士コラムでは定期的にお伝えしてまいります。
◆1つ450円のどら焼きが・・・
ドラえもんも大好物のどら焼きは、日本人には馴染みの深い和菓子の1つです。
街で購入しようとすると1つ200円前後といったところでしょうか。
そんなどら焼きを福岡県のある企業も製造しています。こちらの商品は苺やクリームが入っていて、
私もお土産としてよく購入する商品なのですが、価格は1つ450円です。
正直、結構高いですが、なぜか購入してしまう理由はこの会社のブランド力にあります。
福岡県産のあまおう苺を使い、この苺の美味しさを引き出すために特化したどら焼きなのです。
実はあまおう苺を使うことにこの会社特有のエピソードがありました。
ただの美味しいどら焼きではなく、地元の特産であるあまおう苺を全国に発信したい、
地域の農家の気持ちを少しでも届けたい、そんな農家から商品の作り手まで、
生産者の思いが詰まった逸品に仕上げているのです。
他所のどら焼きとは一味も二味も違う、ブランド価値の高まったどら焼きの誕生でした。
◆ブランディングの「3大効果」
上の例で挙げた、あまおうどら焼きのように、
商品や製品のブランド価値を高めることを、ブランディングと言います。
私は中小企業診断士だけでなく、ブランド・プランナーという立場でも仕事をしています。そ
の際、企業様に必ず伝えることがブランディングの生む「3大効果」です。
①営業力向上
企業や商品の「らしさ」を磨くことにより、共感してくれる顧客が増えます。
いわゆる「ロイヤルティ」が高まることで、顧客が長期的に購入してくれるほか、
付加価値を高めることにもつながります。
②人材採用力向上
らしさを磨くことは、自社の使命・社会に対する存在意義をはっきりさせることにつながります。
その結果、求職者が自社に対する「共感」を高めてくれることから、
企業にとっては人材を採用する力が高まります。
③組織力向上
企業の使命・存在意義を社員が認識・共有することで、組織に一体感が醸成されます。
その結果、目的意識がはっきりしてモチベーションが向上するほか、会社への帰属意識も強くなり、
離職率の低下にもつながります。
以上のようにブランディングの効果には商品やサービスの付加価値を上げるだけではなく、
財務数値では表しにくい企業価値を高めるものだということがよく知られています。
◆ブランディングするとメディアに取り上げられることも
先ほど例示した福岡県のどら焼きの話の続きですが、
ことあるごとにメディアに取り上げられるようになりました。
私は中小企業診断士として活動するだけでなく、放送局にも勤めていますが、
マスコミ側の視点としてもブランディングされた企業や
その企業から産み出された商品・サービスは、番組に取り上げたくなります。
なぜなら、モノやサービスを販売するだけの企業より、使命や社会への存在意義をもって活動する企業の方が、
放送局から見ればニュースや話題としての価値が高いからです。
もちろん、どの企業もそれぞれの使命を持ちますが、
それを文章や形にして対外的に表現していないと理解されません。
ブランディングした後は、それを発信することが大切です。
そしてメディアに取り上げられると、通常の広告や宣伝よりも企業や商品等の認知度や信頼感が向上します。
しかも無料であり、企業にとってはタダで効果的な広告が打てたことになります。
以上のようにブランディングには様々な効果がありますので、
自社でもブランディングを進めたいとお考えの方は、ぜひ文京区中小企業経営協会にお問合せください。
文責 古城秀明
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