マーケティングでよく使われているSNS。うまく活用できていますか?

 「とりあえずInstagramはやっている」「X(旧Twitter)は更新が止まっている」。そんな声を、事業者のSNS担当者からよく耳にします。SNSは現代のマーケティングに欠かせないツールですが、単なる“情報発信の場”と捉えていては、その本来の力を活かしきれていません。それだけではなく、多忙の中でのSNS更新に疲れてしまいます。
 現在、企業マーケティングでよく使われているSNSには、Instagram、X(旧Twitter)、Facebook、LINE、TikTokなどがあります。これらのSNSはそれぞれ、年代別や性別の利用率や拡散性などが異なり、目的に応じて使い分ける必要があります。
 総務省情報通信政策研究所の報告によると、たとえばLINEは、どの年代においても利用率が90%近くありますが、X(旧Twitter)は、40代以上では利用率が40%を下回ります。Instagramは、ビジュアル訴求に優れ、ブランドの世界観づくりに適しており、一方、Xはリアルタイム性や拡散力が強く、キャンペーンや時事ネタとの相性が良い。LINE公式アカウントは、既存顧客へのリピート施策やクーポン配信などに活用されています。
 これらSNSの存在は既に知っており、活用も試みたという企業も多いのではないでしょうか。ただし、SNSの効果に期待していた企業でも陥りがちな状況は、「何を目的に、誰に届けたいのか」が曖昧なままにされ、結果として更新が止まり、フォロワーも増えず、効果測定もされない……という悪循環です。
 SNSは、ただ投稿するだけでは成果に結びつきません。「誰に届けたいのか」、「何を伝えたいのか」、「どの行動つなげたいのか」を明確にし、PDCAを回しながら継続的に改善していくことが重要です。効果を出すためには、どのように目的やターゲットを明確にしていけばよいのか悩んでしまうという事業者のために、以下に、SNSの投稿を開始する前に行うべき準備ステップをご紹介します。

【SNSを投稿する前に行うべき準備ステップ】
準備①:目的を明確にする
まず、「SNSをなぜ使うのか?」を明確にします。
(例)
・認知度を高めたい(新規顧客獲得)
・既存顧客と継続的に接点を持ちたい(ファン化)

準備②:ターゲットを設定する
「誰に届けたいか?」を明確にします。年齢・性別・職業・行動特性・SNS利用状況などを想定し、ターゲット像を描くのが有効です。

準備③:使用するSNSを選ぶ
目的やターゲットに応じて、最適なSNSを選択します。

準備④:投稿のテーマ・メッセージを設計する
「何を伝えるか?」をあらかじめ設計しておきましょう。
投稿のトーンや言葉づかいも、ターゲット層に合わせて設計します。
(例)
・商品・サービスの魅力
・お客様の声

準備⑤:KPI(指標)を設定する
「成果をどう測るか?」も重要です。
(例)
・フォロワー数の増加
・LINEでのクーポン利用数 など

 SNSを活用した工夫は企業によってさまざまですが、他社がどのような取り組みを行い、どのような効果を上げているのかについて、一例として私がよく通っていた日本酒バーの事例をご紹介します。

【Instagramの効果的な事例】
 そのお店は、当時私が勤めていた職場から4駅、自宅からは5駅あり、電車を乗り換えて行く必要がありました。好きなお店ではあったものの、「今日は行こうか迷うな…」「電話で空き状況を確認するのが少し手間」と思い、足が遠のくこともありました。
 しかし、ある日そのお店がInstagramを始めたことで変化がありました。日々のお通しの写真や、その日入荷した日本酒の紹介とともに、「本日、まだお席に余裕があります」という情報を投稿してくれるようになったのです。
 視覚的な魅力とリアルタイムな空席情報に誘われ、私自身、思わず立ち寄ったことが何度もあります。実際にお店の方に伺ったところ、「投稿を見て来店してくれたお客様が増えた」「空席が埋まる確率が上がった」とのことでした。
 こちらのお店は、既存顧客の来店頻度UPを目的に上手くInstagramを活用していました。このように目的に合ったSNSを、ターゲットやシーンに応じて使い分けることで、集客効果を大きく高めることができます。

【SNS活用の留意点】
 SNS活用によって、多くのSNSユーザーにアクセスできるという大きな利点がある反面、想定しておくべきリスクもあります。例えば、店主が個人的な政治的・社会的発言を載せてしまって、反感を招いてしまうリスクやお客様の写真を無断で掲載し、プライバシー侵害につながってしまうリスク。SNSを複数運用し、更新に手が回らず、SNS間で情報の一貫性が管理できなくなることで、ユーザーが混乱してしまうというリスクです。
 これらは、実際に起きたことがある実例です。不特定多数の人に見られているということを意識したSNS活用が、このような問題を回避するポイントとなりますので、覚えておいてください。

SNSはプログラミングの知識が不要で、比較的簡単に使えるツールです。また、無料で利用でき(一部に有料機能もあります)、導入のハードルはそれほど高くありません。
もし、「なんとなく難しそう」と感じて敬遠してきた方や、一度使ってみたものの効果が見えずにやめてしまったという方は、これを機にもう一度考えてみてはいかがでしょうか。

 大切なのは、「何を目的に、誰に、何を届けて、どのような行動を促したいのか」を明確にすることです。そのうえで、SNSの活用に再挑戦してみる価値は十分にあると言えるでしょう。

(文責)豊田洋子

投稿者プロフィール

NPO文京ホームページ運営