コラム:コロナ禍におけるITツールの活用
〜ポスト・コロナ禍の経営 ③〜
◆2022年中小企業白書より
2020年1月28日に国内で新型コロナウィルス感染症が確認されたのち、
わが国の経済はコロナ感染症流行の状況に左右されながら回復・低下を繰り返してきた。
2022年4月26日に公開された中小企業白書によると、
コロナ禍以降において売上高の面では「生活関連サービス業、娯楽業」、「宿泊業、飲食サービス業」の順に落込みが激しく、
開業率や廃業率を確認すると双方ともに、「宿泊業、飲食サービス業」、「生活関連サービス業、娯楽業」の順にこれらの業種の比率が最も高い結果となっている。
これらの業種に対し補助金・助成金・支援金等、そして緊急特別融資(貸付)など、他業種よりも手厚いケアが行われたが、それでも景況は厳しい結果であることがデータから証明されている。
「生活関連サービス業、娯楽業」、「宿泊業、飲食サービス業」に共通するのは、対面方式で顧客が求めるサービスを提供する点である。
対面の接触機会を減らすことが、コロナ感染リスクを減少することになるが、それだけでは売上高までも減少してしまうのが問題である。
コロナ感染症の再流行のおそれは払拭されてはいないものの、岸田総理大臣は、観光目的の訪日旅行(インバウンド)の受入について、2022年6月10日から再開することを表明するなど本格的なアフターコロナ・脱コロナへの方向性が国のトップから示されている。
そして6月2日現在、決定ではないがGoToトラベルの再開について報道されており、
このコラムが公開される頃には一歩進んだ状況に進行している可能性が高い。
そして我々は今度こそ本格的なアフターコロナの時代が始まるという期待に心を膨らませている。
本コラムでは、アフターコロナおよび再流行を想定し、事業者のV字回復を実現していくための方策の気付きになることを目的に筆を進めていく。
◆アフターコロナを見据えた自問自答(自社経営資源の棚卸)
筆者は事業者に対しいたずらに不安をあおる意図は一切無いが、
事業者にはコロナが収束した場合とコロナが再流行した場合という両方の事態を想定した上で、
リスクヘッジの備えを行っていただくことを期待している。
そのためには、生き残りをかけた事業者自身による自らの棚卸が必要不可欠となる。
• 自社の現在の事業は何か
• 自社は何が出来るのか
• 自社はどうしたいのか・何をしたいのか
• 自社の事業の特長・強みは何か
• それを達成するためのツールは自社に存在するか
◆既存事業とITツール等の組合せによる集客の対策
今後たとえコロナ感染症の再流行が起きなかったとしても、再発リスクに対し強い事業構造にしていかなければならない。
これは、今まで行っていた既存事業をやめて新規事業を行うという試みではなく、事業者が得意とする既存事業をITツールを活用することによって強化し、コロナ禍を克服するという取組である。
「飲食店→美味しい料理→持帰り・デリバリー、 飲食店→美味しい料理→食品工場化→ECサイトで提供の事例」
例えば飲食店であれば、ITツールを活用し、料理を持帰りやデリバリーなどのサービスと組み合わせ、売上獲得に貢献させる方法は既に広まっている。
これをさらに進化させ、食品を作ることが得意という強みを高めて食品製造を行い、ECサイトを整備することにより、商圏を近隣から日本全国に広げることに挑戦する。
事業者が健康管理に最善を尽くしても、感染リスクをゼロにすることはできない。
また、自身が感染をしていなくとも濃厚接触者となるリスクは常に抱えており、
こうしたリスクが現実になった際は、余裕のない人員で運営している中小企業にとって、
残された従業員に過大な負担を要求することになりかねない。
コロナ禍が落ち着きを見せている時こそ、ITツールを活用し労働環境を改善し
、営業時間内での収益獲得に努めなければならない。
「リモートワーク→ワークライフバランスの改善をしたい→電話ツールを活用した労働環境の改善の事例」
リモートワークを行っている事業者も、携帯電話番号からの受発信であっても、職場の電話番号として発信通知できるシステムの導入により、営業時間に沿った従業員の管理が可能となるため職場環境の改善による労働者の定着化も狙え、長期的な経営維持が可能となる。
これまで述べてきたように、既存事業について見方を変えて、今一度自社の得意とすること・今行っていることに注目し、ITツールと組み合わせることにより、本来事業者が得意とする事業を維持したまま新事業が行えた上で、職場の改善に繋げることが可能となる。
文責 渡辺ミコ
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