コロナ禍における中小企業への影響・特徴・対策〜ポスト・コロナ禍の経営 ➃

ウィズコロナ時代の創業

1. コロナ禍での創業状況
2020年4月以降、4回の緊急事態宣言が発出され、今年も1月から3月まで、まん延防止等重点措置が行われた。これらの期間、観光、イベント、飲食業などの業種は大きな打撃を受けた。また、それらの業種とのサプライチェーンに関わる卸売業や製造業にも影響は大きく、経済活動が停滞することとなった。
一方で、創業状況はコロナ禍であっても減少はしていない。東京商工リサーチの調べによると、2021年の新設法人は14万4,622社で前年比10.1%増加しており、数としても2012年以降最多となっている。
2022年3月にマイナビ独自レポート「独立・開業に対する意識調査」で「独立・開業を検討するにあたって時勢(コロナウイルスのまん延による影響を含む)の変化による影響はありますか?」という質問に20代~30代は「独立・開業する時期を変更した」、「検討している業種・業態を変更した」という答えが2割程度とあるが、すべての性別・年代において「特になし」と回答した人が4-5割程度で最多となっている。

2. 環境変化はビジネスチャンス
 現状ではコロナ感染者数はこれまでになく増加しているが、もはや緊急事態宣言を発することはなさそうだ。ウィズコロナを前提として事業を考える必要がある。また、新たな環境変化としてウクライナ情勢の影響等による原油・原材料の高騰が課題となっている。
 このような環境変化は、捉え方によっては大きなビジネスチャンスでもある。環境が変化することで、生活者のライフスタイルや価値観にも変化が生じ、そこにビジネスチャンスが生まれる。
 例えば、在宅勤務により交通費や外食、ビジネスウェア、化粧品等の需要が減少した一方、内食や中食、オンラインスクールやテレワーク、家電等の巣ごもり需要が増加した。
 顕著なのは飲食店で、店内での飲食に拘らずテイクアウトやデリバリーのニーズの高まりに対応するようになった。
 政府では、ベンチャー型スタートアップ等の支援を厚くしており、新たな産業の創出者として大きな期待を寄せている。それと共に、ベンチャー型でない創業についても人数が多く、地域経済の担い手、新たな雇用の担い手として期待は大きい。特に女性や退職者、副業者に対する支援策を設け、資金面を始め様々な施策が講じられており、創業者にとっては挑戦しやすい環境であるといえる。

3. ウィズコロナでの創業で特に重要なこと
 創業するにあたり、コロナ前とコロナ後で必要なことは変わらない。例えば創業融資を受ける際には、創業計画と創業者自身の有り様が融資の判断基準になることには変わりがない。しかし、環境変化が大きい今、より一層、市場やユーザ需要を冷静に見極めることが重要になる。やりたいことが優先している例も少なくなく、注意が必要である。
また、変化が起こったときのリスク予防、回避、軽減などの策は十分考えておく必要がある。まずは小さく始めることも一つの方策である。特に固定費が発生するような事業の場合は、最低これだけの売上が必要であるという損益分岐点を明確にして事業活動を行うようにしたい。
 主に創業融資を目的とする創業相談を窓口で行っているが、借りるための事業計画になっているのではないかと思うことも多くある。ぜひとも、その事業計画を創業後も有効に活用していただきたい。
 
4. 創業に使える施策について
「創業時に使える補助金・助成金はないか?」と聞かれることが多い。下記に、そうした目的に活用できる補助金・助成金を紹介する。いずれも、応募時に事業計画が必要で、審査通過が要件となる。応募期間が限定された期間で応募条件が個々に設定されているため、詳細はリンク先のページを参照されたい。

・創業助成金(東京都)
都内の開業率の向上を目的とした助成金(最大300万円)。採択率は高くない。
 https://startup-station.jp/m2/services/sogyokassei/

・「商店街起業・承継支援事業」(東京都)
・「若手・女性リーダー応援プログラム助成事業」(東京都)
 店舗を構える予定であれば、創業者に限らないが商店街活性化の施策の一つとして対象となる(最大580万円)。さらに女性・39歳以下の男性であれば、最大助成額が大きくなる(最大730万円)。
 https://www.tokyo-kosha.or.jp/support/josei/jigyo/shotengai.html
 https://www.tokyo-kosha.or.jp/support/josei/jigyo/wakatejosei.html
 
・小規模事業者持続化補助金(全国)
 販路開拓等を目的とする。「特定創業者支援事業」の認定があれば、「創業枠」が使え、
 補助金額が最大200万円(通常は50万円)。
 https://r3.jizokukahojokin.info/

 東京商工会議所(以下、東商)文京支部で募集時期前に経営計画書、補助事業計画書のブラッシュアップの支援を行っています。詳しくは、東商文京支部にお問合せください。

参考)
・東京商工リサーチ 2021年「全国新設法人動向」調査
 https://www.tsr-net.co.jp/news/analysis/20220524_02.html
・マイナビ独自レポート:2022年版 独立・開業に対する意識調査
 https://dokuritsu.mynavi.jp/reading/articles/176#08

文責  宮内 京子